『投資日和』(10)

「おカネにも仕事をさせよう」というはなし

ゼロ金利の時代が続き、給与所得も増えないという状況の中、給与・報酬等で得た資金を「投資」に回す国民が増えてきました。「おカネにも仕事をさせる」という発想がやっと我が国でも定着し始めているのです。

1980年代のバブル期、株価が右肩上がりの頃、一億総株式投資家と言われた時代がありましたが、あの頃は流行に乗じて株を買ってみるという人がほとんどでした。NTT株上場の際には、銀行がその購入申し込みを我々に促していました。証券会社ではありません。銀行がです。株式購入は抽選となりましたが、その抽選に当たれば無条件で購入資金全額を融資してくれるというのです。無茶苦茶な時代でした。投資という行為の本質を理解せずそうしたゲームに乗じていたのです。そしてバブルは崩壊、痛い目をみたにわか投資家も少なくありませんでした。

そうした時代を経験し、いま改めて「運用」という概念が定着してきたのです。投資教育も進み、流行から生活の一部になりつつあるのです。この間、政府のてこ入れもありました。

「おカネに仕事をさせる」ためには、リスクを覚悟しなければなりません。漁に例えるなら、おカネを船に乗せて豊漁を目的に海原へ送り出すわけですが、晴天もあれば荒天の日もあるでしょうし(投資環境)、不注意から怪我をすることもあるでしょう(判断ミス)。また、そうしたリスクを減らすため、あるいはアクシデントに対応するためには乗船前に十分な訓練も必要でしょう。そのために多少のコストがかかるかもしれません。

一昨年、4万円に乗せたと驚いていた日本の株価は昨年5万円を超えました。金(GOLD)は一昨年1万円(1グラム)を突破、昨年は一気に2万円を超え、1年で1万円の値上がりに驚いたものですが、なんとついに年明け早々3万円を超えました。信じられないペースです。私が(精神的には)貯蓄のつもりでおカネを株式市場に働きに出てもらった頃の平均株価は1万円前後でした。同様に純金積み立てをはじめた頃の金価格は1600円ほどだったでしょうか。遠洋漁業に出ているわたしの「おカネ」はしっかりとした仕事をしてくれていることになります。問題はいつ寄港してもらうかですが、いまのところその予定はありません。

一方、近海の漁に出ているおカネもいます。これらは日々寄港してもらうこともあるし、数週間海に出たままということもあります。私は港にいて、天気図を参考にしたり、他船の情報を得たりしながらそれぞれの船に指示を出しているわけです。

私の場合、これまでのキャリアも影響しているのでしょうが、リスクを伴う積極的な運用においては、その銘柄選びや売買の判断は他者の助言を受けることなく全て自身の判断で行っています。そのために勉強もしていますし、失敗を経験することで「学習」もしています。

積極的な運用に興味があっても、そのために時間を費やすことのできない人もいますし、「判断が不得手な人」(これにはその人の性格も大きく影響し、結果に表れます)もいます。

そのような人たちには助言者の活用を是非考えてみていただきたいと思います。

「おカネに仕事をさせる」ことが現代社会で必要な生活行動のひとつであることは間違いありません。当社の提供するサービスがそのお手伝いをできれば幸いです。

成毛浩之(2026年3月2日)